登山中に膝や足に違和感が出たとき、「このまま進んで大丈夫かな」と迷うことはあると思います。
特に、遠くまで来た日や、予定していたルートを歩いている途中だと、少しくらいの違和感ならそのまま進んでしまいやすいものです。
でも、登山ではそうした小さな違和感が、後からはっきりした痛みに変わることもあります。
特にソロ登山は、自分の判断で自由に行動できる反面、「やめた方がいいかもしれない」と感じたときに、そのまま進むか引き返すかを自分で決めなければなりません。
私も那須岳を歩いたとき、膝に違和感があるのに進んでしまい、後からかなり後悔しました。
この記事では、そのときの体験を振り返りながら、登山中の違和感を軽く見ないことの大切さについて、書いていきます。
※ソロ登山で初心者が気をつけたいことは、別の記事でも詳しくまとめています。
ソロ登山は危険?初心者向けの安全対策
那須岳での登山を振り返る
登山を始めて3か月目、約10回目の登山で、ソロで歩いていました。
天気はよかったものの風はかなり強く、那須岳らしい開けた景色を楽しめる一方で、歩くときは少し気を張る場面もあったのを覚えています。
当時の自分は、ある程度登山回数も増えてきていて長めの山行も経験していました。
そのぶん、今回も無理なく歩けるだろうと思っていた部分があったと思います。
登ったルートと当日の様子
那須岳について
那須岳は、栃木県北部にある那須連山の総称で、茶臼岳・朝日岳・三本槍岳などの山々からなります。
ロープウェイを使ってアクセスしやすい茶臼岳は標高1,915m、三本槍岳は1,917mで那須連山の最高峰です。
火山らしい荒々しい景色の茶臼岳、岩場のある朝日岳、開けた雰囲気の三本槍岳と、それぞれ違った表情を楽しめるのが那須岳の魅力です。
ルート
那須岳ロープウェイ山頂駅から茶臼岳、朝日岳、三本槍岳へ向かい、帰りはロープウェイを使わずに下山。
- 距離:10.6 km
- 獲得標高:770 m
- 標準コースタイム:5.5 時間
※詳細はyamapのデータを参照ください。
茶臼岳(那須岳)・朝日岳・三本槍岳 / nekotaさんの茶臼岳(那須岳)・三本槍岳・朝日岳の活動データ | YAMAP / ヤマップ
膝に違和感があるのに、そのまま進んでしまった
膝に違和感を覚えたのは、朝日岳から三本槍岳に向かう途中でした。
その時点では、はっきりとした痛みというより、「少し気になるな」という程度でした。痛くはなかったので、その場では深刻に考えませんでした。
ただ、今思えばその時点で一度立ち止まって考えるべきだったのだと思います。
違和感が出た場所はまだ行程の途中で、そこから先に進めば進むほど当然帰りも長くなります。でも当時の私は、「まだ大丈夫そうだな」という気持ちの方が強く、そのまま進む方を選んでしまいました。
↓那須岳は火山らしい岩がごろごろした登山道になっています。
理由の一つは、せっかく那須岳まで来ていたからです。
今回は新幹線で来ていて、移動にも時間もお金もかかっていました。そうなると、どうしても「ここでやめるのはもったいない」と感じてしまいます。三本槍岳まで行くつもりで来ていたこともあって、少し違和感があるくらいなら最後まで歩きたいと思ってしまいました。
もう一つは、「まだ痛みではないから大丈夫だろう」と軽く見ていたことです。
登山中の違和感は、その場では判断が難しいこともあります。少し休めばよくなるかもしれない、歩いているうちに気にならなくなるかもしれない、そんなふうに都合よく考えていた部分もありました。
でも、結果的にはその判断はよくありませんでした。
三本槍岳に着くころには、違和感ははっきりとした痛みに変わっていました。下山ではかなりペースを落とさざるを得ず、若干足を引きずるようにしながら、ゆっくり下ることになりました。あのとき違和感の段階で引き返していれば、ここまで悪化させずに済んだかもしれないと思います。
振り返って気づいたこと
最終的にこの日のコースタイムは6時間と標準コースタイムよりも長くなり、登り3時間と下り3時間になっていました。
本来であれば下りの方が短くなってもよさそうですが、この日は膝の痛みが出たことで、下山にかなり時間がかかってしまいました。それだけ、途中で感じた違和感を軽く見ていた影響は大きかったのだと思います。
その場では「少し気になる」くらいでも、登山ではそれが後からはっきりした痛みに変わることがあります。
特に膝は、登っているときには何とかごまかせても、下りで一気につらくなることがあるのだとこのとき実感しました。山頂に着けるかどうかだけで考えてしまうと、その後の下山まで含めた判断ができなくなるのだと思います。
↓三本槍岳は緑が豊かになっています。このあたりでは違和感は痛みに変わっていました。
また、今回の痛みはその日の山行だけが原因ではなかったかもしれないとも感じました。
1週間前には高尾山から陣馬山の縦走、3週間前には雲取山のピストンと、距離の長い登山が続いていました。登山を始めて3か月ほどで回数も増えていたので、自分では順調に歩けているつもりでも、膝には少しずつ負担がたまっていた可能性があります。
今振り返ると、この日の失敗は、違和感が出た瞬間よりも前から始まっていたのかもしれません。
身体の状態をきちんと見られていなかったことと、その場の「まだ大丈夫だろう」という判断が重なって、結果的に下山をかなりつらいものにしてしまったのだと思います。
この失敗から学んだこと
那須岳での登山を振り返ってみると、今回の失敗は単に膝を痛めたというだけではなく、違和感が出たときの判断を間違えたことが大きかったと思います。当時は「まだ歩ける」「ここまで来たなら進みたい」という気持ちが先に立っていましたが、今思えば、その時点で身体はきちんとサインを出していました。
登山では、痛みがはっきり出てから対応するのでは遅いこともあります。
特にソロ登山は、自分の状態を見て、自分で続行するか引き返すかを決めなければなりません。今回の経験を通して、身体の違和感を軽く見ないことと、ソロだからこそ無理をしない判断をしやすいはずだということを、あらためて強く感じました。
身体の違和感を軽く見ない方がいい
今回の登山でいちばん強く感じたのは、身体の違和感は「まだ痛くないから大丈夫」と考えてはいけない、ということです。
実際、朝日岳から三本槍岳に向かう途中で膝に違和感が出た時点では痛みはありませんでした。だからこそ、深刻に考えずに進んでしまったのだと思います。
でも、登山ではそうした小さな違和感が、その後の行動次第でははっきりした痛みに変わることがあります。特に膝は、登りで少し気になる程度でも、下りに入ると一気につらくなることがあります。今回もまさにそうで、山頂に着くころには痛みが強くなり、下山ではかなりペースを落とすことになりました。
その場では「まだ行ける」と思っていても、それが本当に安全かどうかは別だと感じます。
歩けるかどうかだけで判断してしまうと、下山まで含めた全体の負担を見落としやすいからです。登山は山頂に着いて終わりではなく、無事に下りてくるまでが山行なので、少しでも身体におかしさを感じた時点で立ち止まって考えることが大事だったと思います。
今回は、1週間前に高尾山から陣馬山の縦走、3週間前に雲取山のピストンと、距離の長い登山が続いていました。そうした負担の積み重ねもあって、膝がサインを出していた可能性は十分あったはずです。今振り返ると、その違和感は「もう少し気をつけた方がいい」という身体からの知らせだったのだと思います。
↓膝が痛くて休みながら歩いていたため、写真がたくさんありました。
ソロ登山だからこそ、引き返す判断もしやすい
今回の自分はそれができませんでしたが、今振り返ると、ソロ登山は本来、引き返す判断もしやすい登り方だったはずだと思います。一緒に歩く人がいないぶん、誰かの予定に合わせる必要もなく、「ここでやめたら悪いかな」と気を遣う場面もありません。自分の身体の状態を基準にして、続けるかやめるかを決めやすいのは、ソロ登山のよさの一つだと思います。
それなのに今回は、「せっかく新幹線で来たから」「ここまで来たなら三本槍岳まで行きたい」という気持ちの方が強く、膝に違和感があるのにそのまま進んでしまいました。本来なら、人に遠慮せず引き返せる状況だったのに、自分で自分にプレッシャーをかけていたのだと思います。ソロ登山は自由に歩けるのが魅力ですが、その自由は最後まで行くためだけではなく、やめる判断をしやすいことにもあるはずでした。
また、こういう場面ではトレッキングポールを持っていると助かることもあると感じました。今回のように膝に不安があるとき、足だけで支えるのではなく、腕も使って負担を分散しやすくなるからです。普段使わない人も、違和感や痛みが出たときの補助として持っておく意味はあると思います。
今回の経験があったからこそ、これからはソロ登山の自由さを無理を通すためではなく、安全のために使いたいと感じています。
違和感があるなら引き返す、予定を短くする、山頂を諦める。実際にはできなかったからこそ、そういう判断をしやすいのもソロ登山の大事な魅力なのだと思うようになりました。
↓天気も良く、学びも含めて良い登山ではありました。
まとめ
登山中の違和感は、その場ではまだ大丈夫だと思いやすいものですが、後からはっきりした痛みに変わることもあります。
特に歩けてしまう状態だと判断が難しく、予定や気持ちを優先してそのまま進んでしまうこともあると思います。
でも、登山は山頂に着くことだけが目的ではなく、無事に下山するまでが山行です。
少しでも身体におかしさを感じたときはその先に進めるかどうかだけでなく、最後まで安全に歩けるかという視点で考えることが大切だと感じました。
また、ソロ登山は一人で歩くからこそ、自分の状態を基準にして予定を変えたり、引き返したりする判断もしやすいはずです。
私のこの山行ではそれができませんでしたが、無理をしない判断を取りやすいことも、ソロ登山の大事なよさの一つだと思います。
これからは、違和感を軽く見ず、無理を通すより安全を優先することを大切にして活動していきたいと考えています。
ソロ登山の安全対策について、こちらの記事でより詳しく書いています。ソロ登山を始めたい方はぜひ読んでください。
ソロ登山では持ち物をしっかり準備することも重要です。こちらの記事でソロ登山の持ち物を一覧化しています。
